2010-01-01から1年間の記事一覧
嫌な音がした。 ねねねはただ呆然と落下した蛇を見つめていた。無数の紙が舞い散ると、中から「ドニーだった」モノが現れる。 「……っ!」 思わず目を逸らす。人としての形状をとどめてはいるが… それは最低限であり小説家であるねねねでも言葉では言い表せな…
読子は夢を見ていた。長い長い夢から醒めたのにまた夢を見ている感覚。怖いようなそれでいて懐かしいようなたとえようのない気分。 人の良さそうなたれ気味の目をゆっくりあける。 「先生?」 視界に地面にしゃがみこんだねねねが映る。その顔は読子に向けら…
なんだろう、この場面を自分は以前にも見たことがある。 確か…確か… 「久しぶりだね、読子」 目の前にいるのは…ドニー、私の愛してやまない人だった。そして… 「先生!しっかりして」 ドニーが羽交い絞めにしている少女は…菫川先生、私の… 読子は紙を構えな…
「あうう…『奥さん米屋です』の方がまだ面白い…」「?」「なんですの?それ…」 ミシェールとマギーのきょとんとした表情を見て、驚く読子 「ええ、し、知らないんですか!名作ですよ!」 「名作って、ヘミングウェイか何か?」 「いいえ。AV界での名作です、…
「待ってください博士」「どうした?」博士と呼ばれた白衣の男は、助手の方を振り向く。 「…まだあの3人は苦しんでいないようです」 大画面に映し出された3人は楽しそうに談笑している。「確かに、まだ実験には早すぎますねえ」 * * * * * * * * * …
「てかさ、あんたたち一体何者?」 ねねねが腕を組みながら目の前の白衣の男を睨む。ねねねの眼前には大スクリーン、そこに読子、ミシェール、マギーの三人が映し出されていた。 「…実は私たちもよくわかっていないのですよ」 そう言って、ねねねににらまれ…
白い何もない空間に3人の女が佇んでいる。 読子・リードマンとミシェール、そしてマギーだ。3人ともなぜ自分たちがここにいるのかは知らない。 「…姉さん、ここ…どこだろうね」 「さあ〜どうしてここにいるかもわからないし〜ね?読子さん」 「はあ…そうです…
二人はメキシコに来ていた。 だだっ広い砂漠の真ん中にポツンとひとつだけあるプレハブの家 流れ流れて、ヒッチハイクの末見ず知らずの優しいメキシコ人夫妻の家に 泊ることを許された。 「先生、何してんの?」 空を見上げてねねねが尋ねる。風が強いせいか…
三姉妹が初めて読子・リードマンと邂逅し、共に埼玉にある彼女の実家に身を隠してた頃の話である。 「あいつとする仕事はなぜか気持ちがよくてな」 金髪で大柄な体躯を持つ傭兵ドレイク・アンダーソンは読子についてそう語った。 「……ふーん」だがその話を聞…
空の狭間で 大英帝国の事件が落ち着いてしばらくしてから、読子はまた忽然と姿を消した。 「…まったく、あいつはぁ」 うねるような声をあげたのは菫川ねねね。陽光に照らされた茶褐色の髪を一度掻き毟ると 姿を消した主人の部屋をうろうろと歩きまわる。左肩…