さんかくの部屋

アニメ、ゲーム、ミステリ感想、二次創作多めの雑多ブログです。最近は、まどか☆マギカ、マギアレコードばっかりですがよろしくです。

優しい青色


二人はメキシコに来ていた。
だだっ広い砂漠の真ん中にポツンとひとつだけあるプレハブの家
流れ流れて、ヒッチハイクの末見ず知らずの優しいメキシコ人夫妻の家に
泊ることを許された。


「先生、何してんの?」


空を見上げてねねねが尋ねる。風が強いせいか、髪を束ねていた。
視線の先には屋根にちょこんと座ってぼ〜っと空を見ている読子


「空を…見ていました」
「へえ、珍しい…」


あんたでも本以外のもの見るんだ…と言いたかったが、ねねねは口を閉ざす。
読子の顔が悲しそうだったから。


「ナンシーさんのこと?」
「……はい」


ナンシー(姉)のことをこの長い旅行の間にねねねは聞いていた。
本じゃなく誰かに心を奪われる読子を見るのは、ねねねにはつらかったが、でもそれでも
ねねねは読子ともう離れるのは嫌だった。


「…好きだったの?」
「………」


読子は答えない。メガネは光が反射して表情は読めない。
逆にそれが読子の答えなのだろう、ねねねはため息をついた。



…ここまで報われないと笑えるわ



「…好きでした…でも今は」
「え?」



読子はにへらと子供みたいに笑って、屋根から飛び降りた。
危ない、とねねねは一瞬驚いたが、それも杞憂に終わった。
読子はふわり、と引力とは無縁といわんばかりの軽さで着地する。



「…センセイは、なんでついてきてくれたんですか?」
「え・・・なんでって」
「私は本を読むためだったら、どんなところでも行きますし、どんな生活でもできます」
「あ〜それは、今回の旅行でよくわかったわ」



計画性まったく皆無なおかつなんでもありの読子の「本探し」の旅は他人がついていくにはかなり過酷だ。



「なのに先生は一緒に来てくれました」
「それは・・前にもいったじゃん、あんたほっとくとどこいくかわかんないし…」



それに・・・といったきり顔を赤くするねねね。
それを見てにっこりと読子は微笑んでいった。



「好きです」
「え?」

「ナンシーさんのことを好きなくらいに私は先生のことが好きですよ」

「センセイ…」



それはあまりにも突然で、でもずっと前から決められてたことのように
ねねねは読子の胸に飛び込んだ。そしてごく自然に二人は抱き合った。



「………」



触れ合っていた部分をゆっくり離すと、お互いの顔が至近距離でのぞきこめる。



「…センセイ、外人だったね、半分」



読子のおだやかな青い目をねねねはじっと見つめる。読子はそんな目を細めて



「嫌ですか?」



と聞いた。



「ううん、とっても好き」




そういって、ねねねは再び読子の顔に自分の顔を近づける。
今度は目を瞑ったため読子の青い目を見ることはできなかった。



おわり<あとがき>
その後はもう二人メキシカン的なノリでナニでアレですな