2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧
「わあ!」 美樹さやかは素っ頓狂な声をあげて、家電製品コーナーの中を駆けだした。向かうは中央にある大型テレビ。ブルーのポロシャツを着た数名のスタッフが声に驚きさやかを見やるが、すぐに笑みを浮かべる。そう、彼女はこのコーナーの常連なのだ。いや…
さて、こちらのブログでは主にまどマギ・マギレコの二次創作をUPしています。現在はpixivで投稿した作品を私の個人的独断と偏見の順番でUPしていますが、いわゆるR-18作品については(内容については「面白い」と自負できるのですが)こちらのブログに載せる…
「ちょっと、あんた飲みすぎだって…」「…うるさいわね」 蒼い髪の女性は目を丸くして驚いていた。それもそのはず、普段は出歩かない黒髪の相方がさやかの職場の近くのバーで酔いつぶれていたのだ。 『近くのいつものバ―で飲んでるわ、迎えに来て』 と仕事を…
「漠然としているからなあ…かなりそれは難しいよ美樹」「え、やっぱそうなの?」 ああ、と返事して煙草を吸い始めるメガネの男は、このゼミでは独自の哲学理論を展開していて皆に一目置かれていた。ほお、と変な声をあげて天井に煙を吐く。昔見た怪獣映画の…
「私はね、美樹さやか…」「うん?」 アメジストの瞳を妖しげに揺らめかせて、暁美ほむらは美樹さやかを挑発的に見つめる。白い頬にかかった黒髪と、濡れた唇が艶めかしい。何回も大学時代にその美しさは異性に有効と進言したはずなのに、結局暁美ほむらは異…
『私、明日暇なのだけど』 ものすごい気だるげで、でもすごく艶っぽい声でこいつは仕事中の私に電話を掛けてきた。しかも今は午後10時、TPOってのをあんた全く心得てないじゃない!って文句の一つもいいたいけれど、なんだかこいつのことになるとついつい甘…
さやか名案が浮かぶ(まどマギ二次創作) - roadman789’s diary の続きになります。 暁美ほむらは元来というか、環境の所為か人一倍読書好きである。それは、思春期の一時期特殊な(という言葉すら軽薄に思えるほどの)経験を得たのち、人外となった今でも変…
悪魔の朝は遅い 日もだいぶ高くあがった頃、マンション最上階の広いベッドで睡眠を貪っていた家主は、ようやくその中でもぞもぞと動き出した。白いシーツの膨らみから、家主の頭と細い白い腕が現れる。 「ん…」 艶のある声を漏らしながら、むくり、と上半身…
「まどかに悩み事?」 夜の帳が降りた頃、少し寂れた街の界隈で、美樹さやかは携帯の向こうの相手に話しかけた。 『うん、最近様子がおかしくってさあ』 少年の心細そうな声に、さやかは困った様に眉根を下げた。無意識に黒の野暮ったいスーツの襟を正す。つ…
「ねえ、あんたどれ観たいの」「ちょっと、待ちなさい気が散るから」暁美ほむらは腕を組んで目の前の映画上映の掲示板を必死に見つめていた。ため息が出るほどの美貌の持ち主なのに、上映時刻の重なりと作品の品薄さを口汚く罵っている様はまるで子供のよう…