さてさて、あっという間に一年が経ちました。
年を取ると年月が過ぎるのが早いといいますが、こればっかりはほんと真実だと思います。
そして人がどうしても節目節目にきっちりと物事を振り返りたいという思いも多かれ少なかれあるのも真実でしょう。
小生の場合は、今年は10月26日を境にすべて変ってしまいました。
そう!「魔法少女まどか☆マギカ」の新作映画です。
思えば職場の同僚に勧められ、それでも2カ月ほど放置して、再度勧められ「ヤレヤレ」と思いながら観た作品がこれほどまでに
小生のオタク魂と、思春期を超える情念を呼び起こさせるとは今となっては想像もつきませんでした。
当初はTVの3話(ここで転ぶ人多いですね)で大いに転び、周囲の人に勧めるようになりました。
当時キャラそのものよりも、作品の悲劇性に心奪われていたのですが、途中で佐倉杏子と美樹さやかの破滅的な友情物語に心奪われ
このあたりからキャラにも興味を持った気がします。元々、「遺伝子に頼らない愛」(少女革命ウテナの脚本家榎戸さん言)というものに
小生も興味を持っており、互いが性別、年齢、バックボーンに関係なく強く「惹かれる」シチュエーションや関係は多いに好きでした。
説明のつかない関係というのは好きなのです。R.O.Dの読子とねねね、デビルマンレディーの不動ジュンと滝浦和美、紅い蝶の澪繭(これは双子
という遺伝子もありますが…)、そしてエロイカより愛をこめての少佐とエロイカ(こちらは骨太な政治ものとしても面白い)、古典的には
ホームズとワトソン等等。この説明のつかない関係の中にも幅広いバリエーションがあり、見ていて耽美的なある意味性的なエロスを感じさせる
ものと、いばらの道を歩む覚悟を決めた戦友、互いに独立した独自の世界を持ちながらも歩み寄る友人等々、いろいろあると思います。
その中で共通しているのが、「既存の言葉では括ることのできない関係」であるということです。そこが小生に取っての作品の魅力のひとつでも
ありました。
さて、話が多少長くなりましたが、今回、叛逆の物語では上記のような魅力を暁美ほむらと美樹さやかの関係性から感じてしまいました。
元々、暁美ほむらは時間遡行者ということで物語の裏の主役という認識しかなく、小生の中ではそれどまりでした。美樹さやかも然り。
悲劇性を代表するためのキャラだという認識のみで二人に対しての特段の思い入れというのはTV版を見ている時はなかったのです。
ですが、映画の面白いほど実験的な観客裏切り展開につられ、ラストの悪魔的演出には心奪われました。おそらく古典的洋画好きな方は
あの悪魔ほむらの演出、往来での黒パラソルの下での優雅なお茶会、茶碗を割る、水があふれる、見開く目、黒い羽根の乱舞等々なるほどと唸っ
たのではないでしょうか。悪魔映画の王道をあの作品で描いているのですから、ラスト数分でまさかそんな演出が待っているとは夢にも思わず、
あんなに驚いたことはありません。そしてそれまでまどかさんという作品の象徴的な少女しか興味のなかった、ほむらという少女(ラスト年が加
算されている感じはしましたが…まあ、悪魔的な演出の一部でしょうか、それは渋での作品で)が初めて正面に向き合って、青い髪の少女(美樹
さやか)と見つめあうのですからそれも驚きました。そして同時にああ、必然かもなと。時間遡行者にとっては常に孤独がつきまといます、どう
しても他者の干渉を必要とする欲する彼らは、少しでも理解している者がいると意識、興味を持つのではないかと。ほむらが彼女に興味を持った
のは、「理解」している者であるというのも大きいと思います。また、悪魔となった(小生は解放的になった、「女」になったと解釈してます)
ほむらはある程度嗜好が変ったというのもあるかと。子供の頃は嫌いで仕方なかった隣の男の子が大人になるとなんだか可愛らしく見えた的な。
それまであまり興味のなかった(実はそこもミスリードかもしれません、ほむらの内面はあまり描かれてないので、ほんとは美樹さやかに対して
なんらかの思いはあったかも)さやかが、自身が悪魔と変化することで興味の対象となったのはあり得ることだと思うのです。
そこから考えていくとこの二人のIFはかなり興味深いものになりそうだということです。
彼女ら二人の持つスペックは今後成長するとともに幅広くなり、2人であの不安定な世界を共に生きていくのだろうと。
その際の物語を小生は是非知りたいと思い、妄想を書き連ねていくわけですが。
また、あの映画はほむらとさやか以外の内面(心情は描いているが)が表現されていないので、暁美ほむら(と、主従的なレベルでさやか)の物
語といえるでしょうね。
おかげで20回以上も映画を観るという、久々の情念を発揮しました(映画を観るのも数年ぶり、こんなに回数観るのはナウシカとほ北斗の拳以
来)しかも小生が昔何度も映画観たのは、一度入場してしまえが、追い出されない時の話ですから!こんなに金がかかる時にこれだけ観るのはよ
っぽどだと。リピーターさんに対して勝手に小生は愛情を感じてました(気持ち悪くてすみません)
とにかく、この映画見どころ多いですからね。
小生の個人的お気に入りはやはりガンカタですね。あとは悪魔ほむらとさやかの会話シーンあそこは会話、演出全て素晴らしかった。どこが素晴
らしかったかは、もっと長くなりますので、別の機会に。
EDのシルエットもほむらさんとまどかさんで対照的なのが印象的でした。<少女性溢れるまどかと、かなり女性的なほむら。>
とりあえず、このように夢中になれる作品に会えるとは小生幸福者です。
今後もなんらかの形で続編か、それを示唆する小説や版権ものの存在を祈りつつ、新年を迎えます。
あ、また今日も観に行きますけどね(笑)