さんかくの部屋

アニメ、ゲーム、ミステリ感想、二次創作多めの雑多ブログです。最近は、まどか☆マギカ、マギアレコードばっかりですがよろしくです。

星砂の瓶【解説】(まどマギ二次創作)

叛逆から数年後、人として表面上生きていくのが頃合いがいいと暁美ほむらも大学生になります。以前と違うのは「ある事件」で美樹さやかの価値観が揺らぎほむらに歩み寄るようになったこと。それによりほむらにも変化が生じます。それはまず生活の変化。いつの頃からかさやかはほむらの家で暮らすようになりそれが当たり前になります。ほむら本人も時折何故このひとと一緒に暮らしているのだろう?と疑問に思うのですが、彼女の淹れる珈琲が美味しいことと、いつでもひとひねりで殺せるからという余裕で寛容になっています。どうもほむらは一人の大切なひと(鹿目まどか)を想うあまりに他の事がおざなりになっているようで。それは彼女自身のパーソナリティも例外ではありません。誰もが備えているはずの生存本能や防御本能すら欠けているそんな気もします。

さて、私の作品ではほむらはさやかと一緒に暮らしていますが、これは実はマミさんでも杏子でもほむらは受け入れているでしょう。むしろさやかだけは受け入れないという可能性も(笑)ただ決定的に違うのはその「関係性」です。さきほどマミでも杏子でも受け入れると書きましたが、それは悪魔ほむら以外の場合であって、悪魔となった今、ほむらはあの二人(マミ、杏子)を巻き込みたくない、平和に暮らして欲しいという思いから絶対に正体を明かさないし、ましてや一緒に暮らすなんてことはないと考えています(私の個人的な考えです)。たださやかだけは別で。どうやら彼女に対してのみほむらは我を通せる(遠慮がない)様な気がします。そこはある意味対キュウべえにも近い気がしますが。そのために彼女が家に入り込もうと、勝手に料理しようと、図々しくもベッドに入って来ては抱きつこうと、放っておきます。時には辛辣な言葉を投げかけてもそれでも追い出さない。彼女には本心を隠す必要も無いし楽だから(ほむら自身は認識していない)。

 

今回、ベッドで抱きつかれても「どうしてこうなってしまったのだろう?」とどうにも現状を把握できず戸惑うほむらが出てきますが、対さやかに関してはこのような状況がものすごく多いです。起きている事象に対しての自覚がワンテンポ(というかもっと)遅れている。それは彼女に対しては理屈ではなく本能で対応しているから、だから理性的な部分で「あれ?なんで?」というのが多くなる。それでも拒まないし、かえって何かの拍子で「魔が差して」しまうのは、もうただ単にさやかに対するある感情に自覚が無いからなんですね。

星砂の瓶は『二人の調味料』にも出てきます。塩が入って。冒頭、純粋にほむらは星砂に興味を持って覗き込んでいます。これは長かった病院生活もあり世俗のことに疎い故ですが、外見の美しい女性の容姿とどこか幼い少女の様な仕草のギャップはうちの大人ほむらの魅力です。ほむらがちょっと苛ただしげだったのは「友達からもらったのよ」というさやかの台詞の所為で。「友達」というのは「まどか」だけでそう気安く何人もできるものではないと思っているほむらは、気軽に「友達」と言うさやかにいらだちます。まあもちろんそこにはある種微量の嫉妬の様なものもありますが、二人共そんな感情があるとは夢にも思っていません。だからこそ、もっともらしい言葉でさやかを責めるのですが、その時「私達」と言ったことでかえってさやかは喜びます。無意識でもほむらがさやかを仲間と認めていると。

 

ベッドの中でのシーンについては、さやかはかつてのまどかに対してするようにほむらに抱きついて眠るようになってます。(面倒くさいのでほむらはそのまま放置して眠るが、時にうっとうしければベッドから突き落とします。)そこに性的な意味はありませんでした。最初は。ほむらは嫌がるでしょうがさやかはほむらに対して同情の念を抱いています。だからどうしても近くにいると触れたいという思いももってしまう。次第に触れられることに慣れてしまったほむらがさやかを「懐いてきた犬」と思う事で心のガードが下がり「魔が差した」のもまた必然だったかもしれません。

 

翌朝、服装の描写はほぼしていませんがほむらはキャミソールにカーディガンを羽織り、さやかはタンクトップにワイシャツというだいぶ砕けた格好です。これは二人が互いに気兼ねなく暮らしているという表現で、24歳(大人さやほむ本編)になっても変わってません。美しい女性二人の恰好を事細かに描写すると絵面的(想像上の)にそれだけで艶っぽくなりますが、今回は省きました。ここで艶っぽさを出すとラストが生きてきませんので。(18禁や甘々の場合、この格好はフルで描写します。)さやかは明け方にほむらの昨日の言葉の意味を考えたのでしょう。そしてほむらに謝ります。それはほむらの生き方を知っているから。ただただ一人(まどか)のためにここまできた彼女のことを考えると、気軽に「友達を作ろう」と言った自分のことを殴りたくなった、そんなところでしょう。それを聞いてほむらは嬉しくなります。それは「理解された」という喜びからで。しかし本人は気づいてません「心が軽くなった、でもそれは珈琲が美味しいからだろう」と無意識に本心から逃げています。

 

だがその後「友達じゃない」とさやかに言い切るのは、昨夜の「行為」を念押ししたいためで。ほむらは首についた(さやかにつけられた)痣を見せます。真っ赤になってしどろもどろになるさやかを見て初めて愉快という感情を知ったほむら。昨夜の彼女とはまたほんの少し違うほむらが誕生しました。星砂の瓶を覗いて「どこにでも星があるのね」と囁くのは、嬉しさのあまりです。何もないと思っていたところに「喜び」があった。そう知ったほむらの顔は珍しく晴れ晴れとしていたと思います。

 

彼女達の昨夜の「行為」については、18禁の二次創作の解説に盛り込もうと思っていますので、また別の機会に…。