さんかくの部屋

アニメ、ゲーム、ミステリ感想、二次創作多めの雑多ブログです。最近は、まどか☆マギカ、マギアレコードばっかりですがよろしくです。

「せめて普段は仲良くしましょうね、あまり喧嘩腰でいると「あの子」にまで嫌われるわよ」

魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語」を観てもう1年以上経ちますが、まだ小生の心の中で色褪せることはありません。むしろ時を経るほど記憶が鮮明になり、登場人物の台詞ひとつひとつに新たな面白さを発見することがあります。上質な古典文学作品の様です。その中でも人外と化した少女、暁美ほむらの発した台詞(題目のとおり)は非常に興味があります。

「「あの子」にまで嫌われるわよ」


「あの子」
「あの子」とは一体「誰」


これは上映当時から色々な意見があり面白く拝見させてもらってました。小生は初見から今に至るまで「鹿目まどか」だと思っています。他の意見を論破できるほどの根拠は全くありませんが・・・・・

ただ

「叛逆の物語」は「文学作品」だと小生は思っています。一人一人が観る(読む)度に新しい発見をし、新しい解釈をする。そうして次第に壮大な物語へと成長していく。…叛逆はそんな大いなる可能性を秘めていると思いますので、ここはほむらの発した「あの子」は「誰」なのかという想像をしてよりこの作品を楽しんでいける肴を作っていければなと思います。(「誰」なのかということについて断定するものではありませんので、お気楽に読んでもらえればありがたいです。)


まず、上映当時から色々あった意見ですが、代表的なのが以下の登場人物でしょう。


鹿目まどか

 小生も単純に彼女だと思っております。ほむらの関心がこの少女にしかない(と思われる)こと、さやかとほむらを繋ぐ共通の人物として代表的であることから…ただどうしてあの時ほむらは「あの子にまで嫌われるわよ」という言葉を「わざわざ紡いだ」のか。「普段は仲良くしましょうね」という言葉だけでも足りるのに…そのあたりの解釈も面白いと思います。


②上条恭介

 この意見もなるほど面白いと思いました。物理的(時間的?)にあの台詞からしばらくして彼(と仁美)が登場しますし、流れも自然だと思います。ただほむらが彼を「あの子」と形容するのか、また字幕(英語版)で「she」とあることから、ちとそこが問題ですねえ。あの後、彼と仁美を見て涙を浮かべる(ここの涙も解釈するとすごく面白いですがこれはまた別の機会に)さやかちゃんが人間らしくて映画館でハッ、としました。


佐倉杏子

 この意見もああ、そういえばそうか!と思いました。ほむら結界の中で居候させるくらいなので、彼女の中でもさやかと杏子のあの最期(TV版)は無念だったんだろうなと。「二人を仲良くさせたい」というよりも、「二人を幸せにしたい」というのが強い気がします。ほむらの関心が、まどかだけに偏っているのではなく、全てに公平なら、そして、叛逆後の世界で杏子が未ださやかの家で居候しているのならば、これもありなのかもしれません。


そして、残りは④と⑤と⑥ですが、これは小生の深読みですのでお気楽に読んでください。(他にも候補がいれば教えて頂ければありがたいです)


④円環の理

 通学路でほむらが一人お茶を飲んでいた時、誰かとお話している描写があって、それは円環の理ではないかと妄想していた時期がありました。それとリンクして「あの子にまで〜」の台詞の後にほむらの瞳に白い羽根が映っていたことから、「そんなに喧嘩腰でいると(私の近くにいる)あの子(円環の理)にも嫌われるわよ」と言ったのかなと。ほむらには見えてさやかに見えてない……なんか怖い妄想ですねw


⑤ほむら

 「あの子」と自分自身の事を別人のように言うことがあります。それは照れ隠しの場合もありますが、ここでは「深刻」です。ほむらが悪魔と化した時点で「かつての暁美ほむら」は「死んだ」としたら?あるいは心の深淵に閉じ込められて出てこれないとしたら?悪魔である自分は困らないけど、そこまで喧嘩腰だとかつての「ほむら」に嫌われるわよ、と。戒めの意味で。もしかしたら、悪魔は「ほむら」の心を閉じ込めているのかもしれません…だからこそ使い魔の子達がトマトを投げるのかも。


⑥誰でも無い

 ①の中で少し書きましたが、何故わざわざ「あの子にまで〜」と言葉を紡いだのか。それはもしかして…もしかして照れ隠しだったりしたら、いいなあと(何)単に美樹さやか(かつての仲間)と仲良くなりたいだけなのですが、うまくいえず、また喧嘩を吹っ掛けられているのが実は辛くて。だから「普段は仲良くしましょう」と精一杯の本心を言って、だけどその後ごまかしてあの子(誰か)に嫌われるわよ…と。だからトマトを当てられたのかと。本心を隠し、嘘ばかりつく主人に対し。



とまあ、④⑤⑥は小生の妄想ですが、それでも色々な意見があって面白いですな。
実際あの台詞にどのような想いが込められているのか、スタッフのご意見が聞きたいくらいです。以前TV版のシナリオ本に0稿が記載され、しかも新房さんと虚さんの対談もあり色々興味深かったのですが、叛逆も欲しいなと思ったりします。


<余談>

「あの子にまで〜」の「まで」はどういう意味か考えると、「私(ほむら)だけでなく」という意味があるんですよね。そう考えると「貴方(さやか)は私に嫌われるだけでなくあの子にまで嫌われるわよ」という事を言っているわけで。つまりほむらは無意識にさやかにとって自分(ほむら)は重要な存在と思っているのではないかと…。

まあ、妄想の余地を出ませんが、色々考えて楽しんでみるのもいいですね。