さんかくの部屋

アニメ、ゲーム、ミステリ感想、二次創作多めの雑多ブログです。最近は、まどか☆マギカ、マギアレコードばっかりですがよろしくです。

【ネタばれ有り】マギアレコードファイナルシーズン感想【1.黒江を中心に】

はじめに

4月3日、アニレコファイナルシーズンを視聴してからもう2週間以上経過しています。まどマギレコスキーで妄想や感想を好き放題書いている私ですが、今回マギアレコード(アニメ)ファイナルシーズンについては消化に結構時間がかかりました。とにかく衝撃が大きすぎ&多すぎて「な…なんだったんだ今のは?」と戸惑うばかりで、ようやっと冷静に感想を書ける状態です。現在、ゲーレコでは環いろはアニメVer.が登場し、そこでいろはの心情の補完がなされているらしいので、それを見たらまた多少は感想も変わるでしょう。ただ私はそちらについては未読ですので、純粋にアニメだけの感想を書きたいと思います。ファイナルシーズンの感想と題していますが、前2シーズンとの比較や、アニレコ全体を通した感想、そして裏側(製作者側)についての妄想、叛逆視聴後の感情との比較等も短いですが盛り込んでいきたいと思います。また、そのため&ひとつひとつを思いのままたくさん語りたいため、何回かに分けてUPしたいと思います。ご了承ください。一個人の感想として流して読める方で、まあ読んでやろうという方は是非よろしくお願いします。

 

ちなみにこの作品、視聴者の履修の有無(ゲーム版マギレコ、アニメまどマギ)でも感想はだいぶ変わると思います。Amazonの感想でゲーム未履修の方は面白かったと評価している方もおりますし、ほんと千差万別だと。また実際あまりキャラに思い入れの無い方が冷静に作品を観ることができるかもしれません。私はまどマギオタクから始まり、マギレコをプレイして、今では両方好きになっているヘビーユーザーなのでどうしても感想が熱くなってしまうことは否めません。そのあたりもまたご了承ください(お辞儀)。

 

 

 ファイナルシーズン全体を一言で例えるなら…

私なりの言葉で例えるなら、『時間の全くないランチバイキング』です。Twitterでも呟きましたが、一つ一つの料理が全て美味いのに、品数が限りなく多くその上時間制限が10分(何)と全くない。そんな状況…。こうなると料理(作品)以前にこの店の運営どうしてこうなったと負の感情が湧きます(私の場合)。そういう状況にファイナル視聴後は似ていました。ですから、本来は考えないであろう店の運営(製作者側の裏事情)まで勘ぐってしまうことになりました。特に公式側からの見解が思いのほか早く出てきたのは驚いたし、更に魔女紹介で『その性質は労務』『その性質は下働き』とあったことについては、制作上、だいぶ無理なスケジュールを強いられてキツイ思いをした故の発想なのかなあと勘ぐっております。そのため、アニメという本作品のコンテンツ以外での補完が必要だったのかなあと(個人的妄想)。とにかく視聴後は作品を吟味することなど到底できない状態でした。

あの怒涛の展開――黒江は魔女化していろはにとどめを刺され、ももことみふゆは仲間の救出のため退場、ういと灯花とねむも助からず、見滝原組にいたっては、ほむらが時間遡行するシーンが登場し、ほむら以外の生存はほぼ危ぶまれている状態――に続き、ラストを締めるのは本を閉じるアルまどといろはの手、そしてまどマギのラストと同じ様な魔法少女の後ろ姿(だが寄り添い度が高いのはマギレコ)という追い込みはもう、すべてが見どころ、そしてそれぞれが一つの物語としても成り立つほどの情報量で。それが1時間30分弱の物語で詰め込まれているのだから、本当に時間の無い豪華料理だらけのランチバイキングとしか言いようがないです(美味しいだけに残念…)

 

 

 黒江という存在

まあ、それはさておき、時間を経て落ち着いた今ならじっくりと感想を書くことができます。では、今回はアニメから生まれ、ゲームにも実装されることになった稀有なキャラ、『黒江』を中心にファイナルの感想を書いていきたいと思います。

当初、アニメだけのオリジナルの存在と思われていた黒江ですが、なんとアニメ終盤になってゲームにも実装されることとなりました。(こちらについては、尊敬する黒江のイラストを描いている絵師さんのおかげではないかと私は秘かに思っております。)。アニレコが始まる時から彼女はすごい話題になっていましたが、ファーストシーズンでは冒頭とラストに少しだけ登場するだけという展開で、次はどうなる?とファンを不安にさせておりました。それがセカンドでは狂言回しの役割を果たし、どこかとぼけた様子のギャグみがいい味を出して更に人気が出たと思います。それがまさかまさか、ファイナルであんな結末になるとは…これは私も全く予想しておらず驚きました。ゲーレコを知っている私は、どこかでマギレコは寄り添いの物語、だからこのアニレコも人は死なないと思っていたのです(甘かった…!)ファーストではいろはと魔法少女の衣装が似て非なる感じでどこか対になっている所から、いろはの進むべき道と対照的な道(マギウス入り)を歩むことを踏まえてのビジュアル的な働きかけかな、くらいに考えていました。しかし、ファイナルまで来て、そんな甘いものでなかったことに気づいたのです。当初から、黒江が魔女化し、いろはの手にかかってとどめを刺されるということが定まっており、しかも設定にあるいろはのもうひとつの武器(ナイフ)が使用されるということまで定まっていたのなら、結末云々は別として、その発想や展開はほんとすごいなあと唸るばかりで。(ファイナルを観た後、再びファースト一話を見るとまた味わいも違うものになります。)黒江の声がすごい好きで、あの淡々とした喋り方がいい、あのどこかとぼけた所が可愛いと喜んでいた私は、まさに製作者の手のひらの上で踊らされていたのです。(おそるべし…!)もしかしたら、製作者側も黒江はアニメに限るキャラクターとしていたのかもしれません。それがおそらくゲーレコでもアニメVer.を実装することになったことと、黒江の人気が爆上がりしたことと(これについては、前述したTwitterや絵師さんのおかげだと思っています)諸事情が加味されてゲームの世界でも黒江が存在することになったのでしょう。黒江は(そして黒江が象徴するもの)はそれくらい、私や皆にとって愛すべき存在なのだろうと思います。

 

 分岐点はどこから

まあ当初からその展開を組んでいたと考えて、では黒江がその道(魔女化)をたどることのない分岐点はあったのだろうかと妄想してみました。いろはに出会う以前は別として、いろはと出会った時点(アニレコ一話)から考えると、やはり出オチですがいろはと出会うか否かが大きいんですよね。いろはと出会わなかったら魔女化しないですんだかもしれない、でも本当に?仮にいろはと出会わないにしろ、いつかはいろはの様に自分の信念のためにまっすぐ正しく生きる強い魔法少女(こちらについての定義は難しいので、あくまで例えということにしてください)に出会うことになる。そうしたらどちらにせよ、あの結末を迎えていたはずなのです(ラストのいろはとのやり取りについてはまた後程)。そしていろはがやちよと初めて邂逅した時も黒江は傍にいました。実はこれもまた珍しいというか面白いパターンだなあと思っています。あのシーン、ゲームではいろはとやちよだけの出会いになっている所を、まるで黒子の様に黒江が存在しています。後のセカンドでやちよが黒江からマギウスの本拠地を聞き出す伏線ではあるが、それ以上にメタ的な意味があると私は妄想しています。あの邂逅を経て、後にいろははやちよを最も大切なひと(妹とはまた違う意味で)と認識し、そしてやちよも今まで引き摺っていた大切な人を振り切るきっかけとなるのですが、その新しい出会いの場に居合わせてなお、黒子の様に影響を受けない傍観者でいる黒江…彼女はその後もマギウスに入り、ねむに調査を依頼され、再びやちよと邂逅しいろはの夢の中に入り、「相性いいかも」といろはにコネクトを褒められる等々いろんな経験をしますが、それでもなお彼女を曇らせる要因となった過去とその内面に、その経験は光として差し込むことは無く、全く影響が無かったのです。なんと切ないことか…。(こちらについては、ゲームに彼女が実装されることで多少は視聴する側の心の痛みも少しは救われたのではないかと思っています。その為の実装というか、それくらい製作者側も黒江に愛着が湧いたというのも事実でしょう。おそらく何よりも予想外だったのはこのことかもしれません。その月のメガミマガジンのイラストがなんとも幸せそうな黒江なのがなんともまた…(泣))そう分岐点は無数にあると同時に全く無かったともいえます。黒江の心が開くまでは、でもそうならなかった、残念でなりません。

 

 分岐点の中でも異質なシーン

先ほど、分岐点はたくさんあって、そして全く無かったと書きましたが、私が最も重要だと思う分岐は魔女化前のいろはと黒江の会話のシーンです。こちらのいろはの台詞回し、本当に神経を使う場面だなあと思っています。ほんの少しの言葉のあやで一気に黒江が魔女化へと進む瀬戸際、あの時いろははどう語れば良かったのでしょうか。私は当初、あの説得でも黒江は納得し、魔女化を止められると思っていたのです(まったく甘かった…!)ちなみにファーストやセカンドもそうですが、このアニメシーズン毎に路線が変わっていると私は思っているんですよね、それ故、前シーズンを踏襲した上で考えると、いろはの台詞もちょっとしっくりこない所もありました。(まあそれについては、いろは自身も妹を失った後だいぶ動揺していたこと、人の発する言葉は常に変わることからも説明はつくでしょうが…)ぶっちゃけこんなメタ的な事を言ったらそれで終了しそうですが、あそこはどうしても製作上黒江を魔女化させる予定だったため、いろはの台詞もああなったのかと思っています。つまりはアニメにおいてはあの結末を製作者側はもうしっかり定めていたんですよね。(なんとも切ないことですが、コンテンツを超えてゲームに実装され、その世界でいろはは黒江の説得に成功しています。それが唯一救いになっていると思います)それも踏まえた上であのアニメのシーンは、二人にとっても、視聴者側にとっても異質な分岐のシーンになったと思います。このコンテンツの違いについてはまた別で語りたいと思います。

 

 

 名前なのか苗字なのか不明の意味

うい(ういと灯花・ねむ病院組については、また次回熱く語ります)に「あのひとを助けてあげて(中略)お姉ちゃんが助けなきゃいけなくなる人のはじめの一人だから」と示唆される黒江。つまりは黒江だけでなく、今後いろはは魔法少女である責務に押しつぶされ魔女化しようとする少女を助けるという、アルまどにも似た責務を背負うことが暗示されています。まさにここはアニメのオリジナル設定。そして黒江が名前なのか苗字なのかはっきり定めていない理由もここにあるのではと私は考えています。「はじめの一人」つまり黒江は象徴としての存在でもあるといえます。『魔法少女になって良かった』と肯定できない「弱い魔法少女」の象徴。そしていろはがもう少しで友達になれたはずの存在。「やっと名前を呼んでくれた」七海やちよとはまた対照的な存在。二重にも三重にも意味が込められていると私は妄想しています。

 

 ラスト黒江は幸せだったのか

アニメでは本当に悲しいですが、悔しいくらいに清々しい顔をして苦しんでいるいろはの前で消失していった黒江。戦い続ける選択肢よりも、苦しみから逃れるために消失を選んだ彼女を誰も責める権利はなく、そして誰もそれについて語る権利は無いのでしょう。突然の事にいろはもまた私達と同じく動揺したでしょう。魔女になった黒江に対する彼女の対応は悲愴極まりないですが、友人だから故に行えたことだと思っています。本当に短い瞬間でしたが、いろはがただ善性や優しさだけでなく、それ故に持つべき厳しさも併せ持っているということがよく現れたシーンだと思います。彼女(黒江)が幸せだったかどうかは不明ですが、ただあの解放される時の安堵した様な横顔を見ている限りは…あの瞬間に限っては不幸せではなかったと言えるのではないでしょうか。

 

 

 黒江はどこへ

弱い魔法少女を描きたいと考えた製作者側の意図は成功したと言えるでしょう、では、黒江はどこへ?魔女化していろはにとどめをさされた彼女は円環の理に導かれたのでしょうか。あの時身体がバラバラになるのは見た目でインパクトを与える演出のためで、魂とは別物だと思っていますので、彼女の魂はおそらく導かれたと思います。(だからこそのラストのアルまどといろはが閉じる本)いつか遠い遠い未来、いろはと再会することができた時、素直に笑い合って語り合うことができると思います。そして別の時間軸では魔法少女にならずに平凡に暮らしている黒江もいるだろうし、なんといってもゲームの世界では黒江は元気です。黒江はまだまだ元気で存在しています。いつか彼女の名前がきちんと判明する日を願いつつ、今回の感想を締めくくりたいと思います。長々とした文読んでくださりありがとうございました。

 

 

                                さんかく

 

 

余談:次回は病院組か見滝原組のことを書こうと思います。